幻冬舎グループの戦略や成長を追ってみよう
幻冬舎グループの沿革
幻冬舎グループは、角川書店の有力編集者が退社後に仲間5人と1993年に設立した株式会社幻冬舎に始まる出版会社グループです。翌年初の単行本を出版しましたが、角川書店時代に有力編集者として名をはせていたことにより、人気作家の作品が揃い、初版として33万5000部を発刊しました。その後、1997年には文庫本62作品を初版350部一気に出版し、文庫本分野にも参入しました。さらに2001年には株式会社幻冬舎コミックスを設立し、コミックス部門にも参入するなど、積極的に事業を展開していきました。2003年には日本証券業協会に株式を登録し、株式上場も果たします。ただし、これは2011年にマネジメント・バイアウトが成立したため廃止されました。2004年には株式会社幻冬舎ルネッサンスを設立し、2005年には株式会社幻冬舎メディアコンサルティングを設立するといった、インターネット産業の拡大に合わせた事業にも参入していきます。雑誌としては2005年にカルチャーマガジン「パピルス」を、2006年には男性ライフスタイル誌「ゲーテ」を、そして、2009年には女性ファッション誌「ジンジャー」を創刊し、幅広い人々を対象にコンテンツを提供しています。
系列子会社の詳細について
幻冬舎グループの特徴は、事業のジャンルごとに細分化された多数の子会社が存在していることです。まず、漫画出版としては幻冬舎コミックスがあります。これはコミック部門から撤退したソニー・マガジンズのコンテンツを引き継ぐという方法をとって創立されました。BL系の文庫やノベルズも扱うなどサブカルチャーに強く、事業を始めてまだ15年であるにもかかわらず14冊のミリオンセラーを出しています。また、出版だけではなくコンサルティングも行っており、幻冬舎メディアコンサルティングでは出版社としてのノウハウを活かした戦略で、企業ブランディングや企業出版、自費出版などを手掛けています。この子会社として幻冬舎総合財産コンサルティングも運営していますが、これは富裕層向けの金融相談を行なっています。また、若者の本離れなどが叫ばれている現状を見越し、カフェ運営を手掛けているジーエフエスもあります。なお、2003年には日本スピードビジョンを子会社化して、スポーツ事業にも取り掛かりましたが、これは2004年に民事再生法適用を申請することになりました。他に、ライブドアとの業務提携により、ライブドアパブリッシングの設立なども行いましたが、これも現在は解散しています。
幻冬舎グループの事業戦略
幻冬舎グループのの事業戦略を表しているキーコンセプトは、「つくる、知らしめる、売る」です。まず、「つくる」とは、優秀な編集者を使い、作家や漫画家などと深くコミュニケーションを取ることで、新しいメディアコンテンツを生み出すことを指しています。幻冬舎はもともと編集者によって設立されたこともあり、作り手と支える人とのやり取りを重視する戦略を取っています。「知らしめる」とは、広告戦略のことを指しています。いいと信じた本は、少しでも多くの読者に届けたい、読まれなければならないということを信条にしている幻冬舎では、「ヒットは作り出すもの」と捉えています。そこで設立初期から大物作家を起用するなど広告戦略には力を入れており、それにより例えばコミックス部門でのベストセラーを可能にしています。最後に、「売る」です。幻冬舎グループは、著者が身を削って書き上げた作品を1冊でも多く売ることを使命として捉えています。そのために、読者像を元にデータ分析を行なうといったマーケティング戦略に力を入れています。これによって、例えばこれまであまり着目されてこなかった年齢層の女性を対象とするファッション誌「ジンジャー」の創刊とヒットを可能にしました。
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