出版社と小売店舗の間の「出版取次」のビジネスモデル

現在の出版業界について

現在の出版業界は業界規模1兆円以上で、労働者数も約9000人という業界です。出版は普段目にする文庫や雑誌、さらには地図や教育用の教材など、嗜好に欠かせないものにかかわる業界です。しかし、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、出版販売額は9年連続で減少傾向にあります。特に月刊誌や週刊誌などの雑誌出版物が大幅に落ち込んでいます。

インターネットやスマートフォンでの電子書籍が普及しており、書籍離れが深刻化しています。スペースをとってしまう紙媒体よりも、電子書籍の方が扱いやすいためです。

このような動向を受け、業界では再編をする動きがでてきています。企業同士の合併や出資、経営統合などにより、勢力の拡大を目指しています。インターネット事業を行っている企業との経営統合や、自ら電子書籍事業を立ち上げるなどして、書籍とインターネットを複合的に利用する方法を模索している企業もあります。

近年このような大きな変化が訪れた出版業界ですが、小売である店舗の間に、他業界には見られない特殊な仕組みが取り入れられたビジネスモデルが存在しています。そのビジネスモデルがどのようなものかをご説明していきます。


出版社と書店について

出版社は現在の日本には数多く存在しています。書籍や雑誌などを発行して、その書籍が幅広く読まれるように、小売り業の店舗の販売員に働きかけを行ったり、広告宣伝を行う会社です。また、国会図書館などに書誌的なデータを送り、知識などをパッケージ化して社会に届けます。会社の経営方針により、文芸書や学術書、漫画などの様々な専門があり、多くは東京に集中して存在しています。欧米では国境を越えた激しい市場競争が行われており、イギリスの売上高トップはフランスの企業、アメリカの最大の企業はドイツの企業であったりします。

そして書店は、書籍や雑誌の小売店です。日本の書店は数が非常に多く、2006年では、アメリカの書店は約6000店に対し、日本の書店は約1万8000店でした。しかし、電子書籍やインターネットが普及してきた現在では急激に減少しており、2000年から2010年の10年間で、約6000店も減少しました。店舗以外の、ネット通販などでも書籍が購入できるようになったうえ、店舗で購入する時の価格よりも、安くで購入できる場合もあるため、出版社だけでなく、書店にも大きな変化が訪れているといえます。


取次のビジネスモデル

ビジネスモデルはお金が入ってくるかなど、お金がまわる仕組みを考える必要があります。出版社と書店との間にもビジネスモデルが存在しますが、少し特殊なものです。出版社と書店の間の、卸売業者のような立ち位置の企業がありますが、この企業を取次といいます。取次は書籍などの流通業者です。しかし通常の卸売業者とは違い、書店が在庫管理を考える必要がないというのが、他業界と大きく違う特徴です。この取次には様々な役割があります。取引総数最小化、金融、品揃え、返品処理などです。

取引総数最小化は、出版社と書店の双方で取引を行う事は手間がかかりすぎて現実的ではありませんが、取次を介することで、取引件数を減らすことができます。

金融は、書店への代金回収の繰り延べや、出版社への委託販売代金の見込み払いなど、実質的な金融機能を持っています。

また小規模書店でも取次を介することで、多くの配本を受けることができ品揃えを豊富にすることができます。

そして、取次は書店へ本を販売するのではなく配本という形が取られているため、書店で売れ残ってしまった書籍は取次に返本されます。取次は返本された商品を、さらに出版社に返本するといった処理を行うため返本のリスクを負うのは出版社になります。

出版社の残した功績

出版社がどんな活動をしてきたのか、どんな出版社があるのか、出版業界の現状などなど、興味がありそうな分野をピックアップして紹介していきたいと思っています。最新の情報もトピックとして紹介していきます。

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